4/18,19に行われたMISAKIぐるぐる祭り(神奈川県三浦市)の写真家・福井歩さん展示ブースに、ご厚意でMobilis Aquarium(以下MA)も水槽展示とパネルの宣伝をさせていただきました。同時に日本さかな専門学校環境教育会の学生さん達の水槽展示も行いました。
MAが展示したのは主に三崎・城ヶ島沖に生息する深場の生体になります。MAとしては初の試みで、今後も安定して深場生体の移動水族館をするための第一歩でした。
貴重な場を設けてくださった福井歩さん、協力してくれた日本さかな専門学校環境教育会の学生さん達、MISAKIぐるぐる祭り運営の方々、そして本展示に来てくださった皆様にこの場を借りて感謝を申し上げます。
展示したのは深い海に棲む魚たち
今回展示したのはヒメ、イズカサゴ、ユメカサゴ、そして生かして展示するのが非常に困難であるアズマハナダイです。

本展示の生体たちの多くは、以前ブログ等で紹介した、「深海生物減圧症用加圧器」というMAが所有する装置を用いて処理した個体です。


この装置は簡単に説明しますと、本来デリケートで飼育展示が難しい深場〜深海の魚を安全に採集するための装置です。深場〜深海魚たちは、深い海から急激に釣り上げられると気圧の変化でお腹のガスが膨れ上がり、大ダメージを受けてしまいます。本装置はそんな魚に加圧処理を施すことで、その症状を治すことができるスグレモノなのです。
特にアズマハナダイは採集時に生かすことが大変難しく、水族館においてもレアな魚であり、移動水族館で展示した例もほとんどありません。
MAはこの加圧器を開発したことにより、深場〜深海の生き物たちを安定して採集・飼育展示することが可能となりました。
今回はそんな彼らを、移動水族館という形で展示に出した、はじめての機会でした。
嬉しい誤算
さて、そうして意気揚々と深場生体たちを出したは良いものの、ここで嬉しい誤算が起きます。
展示を見に来たお子様の殆どは、MAと同時に展示を出していた日本さかな専門学校環境教育会の「漁港や磯で見られる身近な魚たち」の方に釘付けになっていたのです。

深場生体?深海生物?加圧器?そんなんしらんがな。子供たちは、シンプルで見やすく、親しみやすい沿岸域の魚たちの方が好きなようです。
MAとしては、もちろん苦労して採集した深場生体たちを見てほしい気持ちもありますが、子供たちが身近に触れられる魚たちに最も興味を示してくれたという事実は、こちらとしても嬉しい出来事でした。

逆に、深場生体の展示は大人ウケが良かった印象です。特に二日目は加圧器の実物展示と、実際に魚を加圧処理している様子をお客様に見せることができた(後述)ため、より多くの方の興味を引くことができました。
無事に生還
広報の私は18日のイベントのみの参加だったため、19日とその後の片付けやバックヤードへの搬入作業は行えませんでした(行ってくれたリーダーありがとうございます)。

そのため、展示に出した魚たちのその後が非常に心配だったのですが、デリケートなアズマハナダイ含め、全員が無事にバックヤードへ生還することが出来ました。
移動水族館は生体の移動が伴うため、多少なりとも生体へ負荷をかけてしまいます。そんな中で深場生体を用いた移動水族館を安定して行えたことは、MAにとってひとつの自信になりました。
突然の来客「セトミノカサゴ」
先程、本イベントにて加圧器の実物展示と、加圧処理の様子をお客様に見せることができたと書きました。しかし、本イベントで加圧器を展示する予定は一切ありませんでした。また、今回展示した魚たちは既に加圧処理済なため、展示のためだけに加圧処理することは出来ません。
では何故加圧器の展示をしたのか。
時はイベント開催中の5月19日の朝。共に展示をしていた日本さかな専門学校環境教育会の学生さんが漁港でプカプカと浮かぶ赤い物体を発見しました。

「まさか」と思った彼は、私服にも関わらずズカズカと水の中に入っていき、その赤い物体を掬い上げました。その赤い物体はなんとセトミノカサゴでした。
セトミノカサゴは水深40m以深〜水深300mの深場〜深海に住む魚で、漁港に浮いていることなどまずありえません。釣りか漁で採集された後に、捨てられてしまった個体なのでしょう。
上述のように、深場から釣り上げられた魚はお腹のガスが急激に膨らみ、浮かび上がってしまいます。セトミノカサゴもこのままでは死んでしまいます。そこで学生さんはMAの加圧器の存在を思い出し、リーダーに声をかけてセトミノカサゴに加圧処理を行うことになりました。

イベント中だったため、加圧器と処理中のセトミノカサゴはイベント現場に置いておくしかありません。その様子に多くのお客様が興味を持ち、結果加圧器と処理中の様子の公開展示になってしまった……ということです。
セトミノカサゴはみるみるうちに回復し、その様子もまた結果的にお客様へのアピールになっていったようです。現在、セトミノカサゴはMAのバックヤードで治療を行っており、元気になり次第学生さんにお返しする予定です。

思わぬ出来事でしたが、セトミノカサゴを救えたこと、それがお客様への展示にもなれたこと、また加圧器の有用性も証明できたことなど、結果的に一石三鳥くらいの良い出来事になりました。
弱った海獣を一時的に保護し、放流する活動などもありますが、今後上手くいけば、深場生体においても似たようなことが出来るかもしれません。
こうした活動を続けていきたい
今回のイベントは、多くのお客様に展示を見ていただけたことはもちろん、三崎の町の色んな方々と面識を持てたこと、次のイベント展示に繋がるお声かけもして頂いたことなど、MAとしては非常に有意義でありがたい時間を過ごすことができました。
今後もこうした地道な展示活動やワークショップなどを続けていき、皆様のためになれるような組織に成長していきたいと考えています。
これからも応援のほど、何卒よろしくお願いいたします。
ではまた!

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