移動水族館ありがとうございました!in神田

MAブログ

2025年11/3(月)、神田で行われた縁日イベント「なんだかんだ」にて、Mobilis Aquarium(以下MA)は移動水族館をさせていただきました。

今回は日本さかな専門学校・環境教育会の皆様にもお手伝いいただきました。学生さんたちの力強さ、フレッシュさにはとても助けられました。若いって、やる気があるって、いいなァ……

本イベントの展示テーマは「東京湾」。以前行った赤羽の移動水族館とテーマ自体はほぼ同じです。3つの東京湾水槽「身近なさかな」「食卓のさかな」「カラフルなさかな」をそれぞれ展示しました。前回は「外湾」「内湾」などがテーマ名でしたが、今回はより親子向けのイベントということもあり、もう少しテーマをわかりやすくしました。一見汚そうで、何もいなさそうに見える東京湾にも、豊かで多種多様な魚たちがいることを伝える展示を行いました。

また今回のイベントは、展示を見たお客様が好きな魚や推したい魚、スタッフへの質問などをなんでも付箋に書いて展示にパネルとして貼れる「キミも水族館を作ろう!」という企画を行いました。想像よりも多くのパネルをいただき、お客様にお気に入りの魚たちを紹介していただきました。また質問などもいくつかいただきました。いただいた質問はXやInstagram、また別のブログなどで回答いたします!

身近なさかな

比較的浅場におり、潮干狩りなどでも見られる砂地の身近な魚たちを展示しました。何もいないと思われがちな東京湾も、探せばこんな魚たちが見られます。

シロギス

本展示の目玉はシロギスです。釣りでも人気が高く、天ぷらなどにするととてもおいしいシロギスですが、生きた姿で飼育展示するのは非常に難しいです。

理由はとてもデリケートな魚だからです。今回のイベントの魚は全てMAスタッフと専門学生たちによる自家採集です。シロギスは砂浜からの釣りによる採集ですが、細心の注意を払って行います。まず絶対に魚体に触ってはいけません。それだけで弱ってしまいます。釣り上げて呑気に写真を撮っている暇などありません。すぐに針を外してやり、しっかりケアをします。

薬浴中の「身近なさかな」水槽の魚たち。水が黄色いのは薬の効果です。
シロギスは網で掬うだけで傷ついてしまいます。水ごと掬って優しく移動させます。

そうした苦労を経て、ようやく生きたシロギスを展示できるのです。展示困難なシロギスを状態よく展示できたのは、MAの「魚になるべく優しい展示を行う」という理念にも合致していて良かったなと思います。

お客様からこんなご感想もいただきました。展示個体をキレイと言っていただけるのは、水族館人にとってこの上ない喜びです。実は2025年現在、シロギスは東京都内の水族館さんでも見ることができます。キレイなシロギスを東京で展示することは、東京湾展示の誇りなのでしょう。

ガンゾウビラメ

意外と人気を博していたのがヒラメ(ガンゾウビラメ)です。水族館でも砂に潜んでいる姿をよく見かけますし、私としてはみんなヒラメは知っているだろうという認識でした。しかし、訪れるお客様…特にお子様は、多くの子がヒラメの仲間自体を初めて見たようで、目をまんまるに見開いて観察していました。大人にとっての当たり前も、子供にとっては驚きに満ちた世界なのですね。

貼っていただいたパネルにもガンゾウビラメが多く書かれており、特にお子様には大人気でした。

食卓のさかな

東京湾は、江戸前寿司の魚が捕れる豊かな漁場でもあります。マアジをはじめ、先程のシロギスやスズキなど、食卓にも並ぶ魚がたくさん生息しています。

漁網への拘り

本展示で私が地味に拘り続けていたのが「漁網」です。漁網をリサイクルして作られたネットが市販にあり、前回のイベントでもそちらを展示にレイアウトとして入れていました。

当初、本展示の装飾は海を模した青色の背景のみであり、どこまでも続く海とそこで獲れる魚たちというイメージで展示を行うつもりでした。

しかし、せっかく「豊かな漁場」を伝える展示なのに、視覚的に東京湾が漁場であることが伝わらないのは勿体無い!という私のワガママで、漁網を設置することに。
悲しいですが、水族館のパネルはあまりお客様には読まれません。パネルに展示概要を細かく書いたからそれでヨシ!なんてことはありません。漁網を設置することで、パネルの「東京湾」「食卓のさかな」という”見出し文”さえ目に入れば、後は水槽を見るだけで漁場であることが伝わります。些細な拘りですが、視覚的に一発で「東京湾の漁場」を伝えるためにどうしても設置したかったのです。

そんな細かすぎる熱意はお客様にも伝わっていたらしく、わざわざ感想に書いてくださった方もいました笑 ありがとうございます。

カラフルなさかな

夏になると、南方の熱帯魚たちが黒潮に乗って東京湾までやってきます。千葉県館山の岩礁などでは、熱帯魚のチョウチョウウオたちがヒラヒラと舞う姿を観察することができます。本展示はそんな季節限定の魚たちが東京湾にいることを紹介した展示です。

一番人気

今回のイベントで、本展示が間違いなく一番人気でした。なぜそれがわかるのか。そりゃあもう、視覚的に……

明らかにお客様パネルの数が多い!笑 その殆どがチョウチョウウオです。

お客様は魚たちが東京湾で採集されたことに非常に驚いていました。普段よく目にする海で、こんなカラフル魚が泳いでいるのですから、当然といえば当然です。

お客様がパネルを作る際、「何チョウチョウウオであるか魚名板を読んで確認(種同定)」「どんな模様をしているか」を書くために、しっかり魚を観察されていたのが印象的です。

ただなんとなく「キレイな魚がいた!」では終わらせない。自分の目で見て書いて覚えた魚は、きっと特別な魚になるでしょう。いつか水族館などでチョウチョウウオを目にする機会があった時、「あ!前に見たトゲチョウチョウウオだ!」と思い出していただけたなら、こんなに嬉しいことはありません。

フレッシュな学生さんたち

展示作成中の日本さかな専門学校「環境教育会」のみなさま。なんかシザーハンズみたいなのおるな・・・(掲載許可済)

前述しましたが、本展示は日本さかな専門学校・環境教育会の学生さん達にも手伝っていただきました。その若々しさというか、フレッシュさと言ったらもう眩しくて眩しくて……。イベントに来てくれる方もそうですが、私からしたら学生さんたちも環境教育を学びに来てくれたお客様です。東京湾の魅力を少しでも人々に広められたことはもちろん、今後の未来を担う学生さんたちの何か刺激になれば良いなと思いました。

全ての方に感謝を

今回の展示は、当然私たちの努力だけで成り立ったわけではありません。

手伝ってくれた学生さんたち、イベントに出店依頼をしてくださった方たち、足を運んでくださったお客様……本イベントに携わっていただいた全ての方々がいなければ、私たちは展示を行うことすら出来ませんでした。この場を借りて、全ての皆様に感謝を申し上げます。

MAはまだまだ発展途上の団体です。課題も山積みです。しかし、ほんの少しでも何か出来ればいいなと思いながら、日々努力しています。そんな私たちの展示活動を今後も応援していただけたら嬉しいです!

改めて、ありがとうございました!

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