【ニュース】深海魚減圧症用加圧器を作りました。

MAブログ

こんにちは。MA広報です。

先日、MAの公式Xで呟いた内容が、軽くバズりました。
それは何を隠そう、深海魚減圧症用加圧器です。

MAリーダー自作の深海魚減圧症用加圧器

深海魚たちは深海の高い水圧下で生活しているため、水圧の少ない水面まであがって来るとお腹の中にガスが充満して風船のように膨らんでしまい、大ダメージを受けてしまいます。

釣りあげた直後の深海魚たち

その膨らんだ身体を元に戻すのが、本装置です。

大きな水族館でも、これと似たような装置を持つ施設はあります。しかし、その多くは非常に高価なものです。本装置はそれと似たような仕組みのものですが、そういった大掛かりな装置と比べ、非常に安価です。

リーダーはそんなスゲーモノを自作したというのです。

本装置への声として、一番多かったのは「どういう仕組みなのか?」でした。MAとしては、後々、装置の細かい仕組みやメカニズムなども紹介していきたいと考えております。

しかし、まだ実用可能な段階とは程遠い実験段階であることや、もっと改良して形にしていきたいため、仕組みに関してはもうしばらくお待ちください!

今回は、現在本装置でMAのバックヤードに搬入できた魚の紹介と、本装置にかける想いや、広く公開しようと決めた理由なども記していきます。

確かに、現状「加圧器で深場の魚を生かせた!すごいだろぉ?」みたいな発信の仕方しかしていなかったため、単に「俺TUEEEE!!!」って自慢したいだけの組織に見えてしまったかもしれません。申し訳ございません。

MAとしては、確固たる意思をもって、加圧器を広めていきたいと考えておりますので、その旨を本ブログでしっかり明記していきたいと思います。

加圧器で生かすことが出来た魚

まずは、本加圧器で生かすことができた魚たちをご紹介していきます。

ヒオドシ

まずはヒオドシです。
記念すべき?第一号加圧処理個体です。

こちらは釣りあげて間もないヒオドシです。ガスが膨らみ、ひっくりかえってしまったり、浮かんでしまっています。

このヒオドシを加圧処理した現在の様子がこちらです。

目立った外傷もなく、元気に生きております。
軽く目玉が飛び出ていたヒオドシもいましたが、加圧処理後に完治しました。お腹のガスだけでなく、飛び出た目玉も治せるところは、本装置の強みの一つかもしれません。

写真提供:北里アクアリウムラボ

ヒオドシは、後述するヒメと共に「北里アクアリウムラボ」様へ寄贈しました。
現在、加圧処理した個体を観察できる唯一の水族館になります。

キツネダイ

やや深い岩礁域に生息するベラ科の魚です。

この個体は回復が非常に早く、あっという間に減圧症が完治し、また餌付くのも爆速でした。

ツルグエ

こちらはツルグエという魚です。釣りあげた直後は、このようにひっくり返っています。

こちらも処理を行い、完治しました。模様が非常に美しい魚です。

サクラダイ

すみません、あまりいい写真がなかったので、加圧処理中の写真と、加圧器全く関係ない私がダイビングで撮影したサクラダイの写真で失礼します。

こちらは加圧中のサクラダイです。

その後、一部の個体はまだガスが抜けきっていなかったため、キャプチャーに入れて強制的に沈めました。少し窮屈ですが、この処置により、次の日には全員減圧症が完治しました。

ヒメ

写真提供:北里アクアリウムラボ

水深25~200mの砂泥底に生息する魚です。いろんな水族館の深海水槽でもよく見かけますが、正直あまり動かずパッとしないためか、みんなの記憶に残りにくい魚です。カワイイのに・・・

こちらのヒメも、北里アクアリウムラボ様へ寄贈しました。

アズマハナダイ

深い海の大陸棚縁辺の岩礁および砂礫底に生息しています。体に赤色の鮮やかな横帯があるのが特徴です。

恐らく、現在MAでダントツでレアな魚です。アズマハナダイを生かして持って帰れたことが、加圧器の実力?を証明できたといっても過言ではありません。何せ、生かして輸送することが大変難しい魚なのです。

今回紹介した魚以外にも、タマガシラ、アカボウ、キントキダイ、アカイサキ、ヒシダイ、スミツキハナダイ、テンジクハナダイの処理にも成功しました。

万能ではありません

現在も加圧器を用いた調査を行い続けていますが、その中で思ったことは、本加圧器も決して万能ではないということです。

本加圧器を使えばどんな深海魚や深場の生体も生かせるかと言ったら、全くそんなことはありません。

深海生物採集の際、何より大切なのは「釣り上げる際、リールをゆっくり時間をかけて巻く」ことです。この作業を怠ると、巻き上げている最中に、ほとんどの魚は減圧症で死んでしまいます。

このリールをゆっくり巻く技術、結構ムズカシイです。この技術を身に着けた上で、それでもなおまだ浮かび上がってしまう個体を元に戻せるのが、本加圧器の限界です。

釣り上げた際に既に息をしていない個体、生きてはいるが減圧症による損傷が酷い個体は、残念ながら救えません。

ゆくゆくは本加圧器の内容・仕組みを公開予定ですが、「誰でも安価で簡単に使える万能装置」ではないことはご了承ください。

今後、加圧器を用いて行いたい理想

ここからは、加圧器を用いた今後の展望や、MAとして加圧器や深海生物たちにどう向き合っていきたいかを記していきます。

先駆者ではありません

意気揚々と本装置を公開しましたが、恐らく採集愛好家たちの中には、同じような装置を既に自作されている方もいらっしゃると思います。

そのため、この装置を初めて発明したのはMAだ!というつもりは全くありません。ただ、念のため、本装置はウチのリーダーが自身の経験や勘に基づいて試作したものであって、他の装置等は一切参考にしておりません。

先駆者などと言い張るつもりはありませんが、パクったわけでもありません。この点は、あらかじめご承知おきください。

なぜ広めたいか

そうは言っても、本装置のような画期的アイテムの情報を簡単に公開してしまってよいのか、と思われる方もいるかもしれません。類似品を作成した方が既にいたとしても、その公開を躊躇う気持ちは十分に理解出来ます。

そうした状況を理解しつつ、その上でMAは本装置を広めていくべきだと考えております。

当たり前に捨てられる深海魚を生かしたい

これまでの深海生物採集

深海魚採集の様子

近頃、深海に関する話題は何かと人気を博します。冬になると希少な深海生物がたくさん水族館に搬入され、水族館マニアの間で「珍客」とも呼ばれています。

こうした珍客は、現状「数打ちゃ当たる」方法で採集されることが殆どです。

釣りや底引き網などで深海生物を手あたり次第採集し、その中で状態のいい生き物を選別して水族館に搬入する方法です。場所や施設にもよると思いますが、余った深海生物の殆どはリリースできず、また利用されることもなく廃棄されます。

自然への負荷を減らす。その認識を広めたい。

そうした状況をある程度は仕方ないと理解しつつも、MAとしては、やはりきちんと生かして長期飼育に繋げたい、余った深海生物はちゃんと利用するか、リリースしてやりたいと考えています。

救出できなかった深海魚も、標本にしたり、料理したりと、有効活用は出来ます。
しかし、仮に有効活用したとしても、自然へ余計な負荷をかけていることに変わりはありません。

採集した深海生物を安全に生かし、飼育展示や研究などに繋げる。そして、余った深海生物はリリースする。これが、本来の理想なはずです。自然環境の大切さや尊さを広めたいMAが、自然環境に余計な負荷をかけ続けていては本末転倒です。

加圧器が広まれば、安全に深海魚を採集できることは勿論

「深海魚をリリースできる可能性が高まる = 自然への負荷を可能な限り減らせることが出来る」

と考えています。

MAが目指したいのは、この認識を広めること。そのために、加圧器を誰でも使える形にすることです。

簡易的で持ち運べるというメリット

本装置の最大のメリットは、非常に簡易的かつ船に持ち運べることです。採集したその場ですぐに加圧処理を施すことができます。

実際に、SNSに届いた声として「仕組みが気になる」に次いで多かったのは、釣り人さんや採集家さんの「これを使えば、深海生物たちをリリースしてやれる」というものでした。

本装置が実用化されて広まれば、採集家の方や水族館の方が、安全に深海魚を生かして持って帰れますし、リリースできる可能性も高まります。

まとめ・今後の展望

上述のように、MAは本装置の技術力を誇示するために使いたいわけではありません

MAの理念的に言えば、自然環境の保全や環境負荷軽減に役立てたいのです。環境教育を行う上で、どうしても深海魚の採集が必要になる場合はあります。その際、余剰分を犠牲にせず、また一度採集した個体を安定して飼育することで、「深海魚の採集頻度を減らせる=自然への負荷を減らせる」ことができます。

もちろん、加圧器の実験を行う中で、私たち自身、様々な失敗はしてしまうでしょう。しかし、そこで得た教訓・結果をその後に活かし、生きもの一匹一匹に真摯に向き合うことを大切にしていきたいです。そして、その技術や認識を広めることで、当たり前にされていた深海生物への扱いを少しでも変えていきたい。

ただの理想ですが、夢は大きくデッカく、です。そのために、今後も活動を続けていきます。

以上のような理由により、MAは本装置の公開を決めました。自慢でも、お金稼ぎでもなく、「皆様のお役に立ちたい=自然への負荷を減らしたい」という想いからです。そしてそれは、MAの目指す普及活動の一環です。

今後の展望としては、より精度を高めるべく、本装置の改良や実験を繰り返していこうと考えております。他の魚種でも有用であるか、装置のサイズを大きくして大型の深海魚でも使えないか、何mの深海魚まで元に戻せるか・・・

詳細は伏せますが、様々な方々の協力を仰ぎ、実験を進めていく予定です。

今後の展開によっては、本技術を用いた商品化であったり、そういった類のことも起きるかもしれません。しかし、繰り返しますが、それらはMAを誇示するために使いたいわけではありません。すべては、自然負荷を減らしたい、苦悩される方々のお役に立ちたい、という理想です。

理想を現実に変えられるよう、これからも精進していきます。
温かく見守っていただけたら幸いです。

最後に「重要」

現在、当団体、そして加圧器に関して、多くのご意見をいただいており、そのほとんどが温かいお言葉や建設的なご指摘です。ありがとうございます。

一方で、当団体に関する事実と異なる内容や行き過ぎた表現も、ほんの一部見受けられます。建設的なご意見には引き続き真摯に向き合いますが、誹謗中傷や事実と異なる悪質な投稿については、投稿形式(リプライ・引用・いわゆる空リプ等)を問わず対象として記録・確認を行い、必要に応じて法的対応を含め厳正に対処いたします。ご理解いただけますと幸いです。

……と、注意喚起をしたところで本ブログはおしまいです。

それでは、また!

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